だって、彼らは条件が気に食わなければ、よそへ行くこともできるわけでしょ?
もちろん人間関係や組織のしがらみはあるだろうが、腹さえくくればどこでもやっていける。
田舎を出て別の田舎にも行けるし、田舎と都会を往復することも可能だ。
それも、生活レベルを落とさずに。
交通が不便だの、似たような店しかないだの、似たようなヤンキーしかいないだの。
でも、忘れちゃいけないのが、そこから身動きが取れないことだ。
地方が窮屈というのは、個人的にはそういうのを含めてのことだと思っている。
しかし、いつでも地方から逃げられる人が、それを語って語り尽くせるものだろうか?
地方の重力に体を引かれる辛さは、いったんそれを振り切る術を得た人間にはわからない。
もし、昔はそれを体感していて、今頭で理解することはできたとしても、
たぶんもう体は忘れていて、肌感覚に蘇らせることは二度とできないはずだ。