正月になると思い出す。
関西の片田舎に高度経済成長にあわせて、造成された住宅街だったので、
見た目は綺麗な家が続いていたが、ふと道をはずれるととんでもなく大きな農家や、
浮浪者のような老人が住んでいる掘っ立て小屋(親からあそこには近づくなと教わる)
があるようなところだった。
ちなみにその「浮浪者のような老人」は頑固じじいを略して「ガンジー」と子どもから呼ばれていたが、
非暴力、不服従とは程遠く、小屋の前をわいわいと子どもたちが賑やかに集団下校するだけで、
「ごるぅああああああ!!!!!ぼけぇががああああああ!!!!!ぐるうう」
そんなある時、友人の近藤くんが「あの老人の小屋の裏の池で釣りをしないか?」と言い出した。