真希は可愛いけど少しワガママなところがある。「でもそれも美女の嗜み」そう思えるかは、その時の僕の気分による。100%許容できないことは、格好悪いなとは思っている。そんな僕に転機があった。
「だけどね、ちょっと辛くなる時もあるんだよ」という愚痴は心の中にしまい、明日も一緒に歩んで行こうと誓った出来事を、今ここに書き綴る。
これは昨日の話だ。僕は黄昏、習い事から帰ってくる真希のために夕ご飯を作っていた。
神戸ビーフを使ったサテーキ、サーモンのマリネ、三元豚のロースカツ、ベイクドバタードポテトのチェダーチーズがけ、フカヒレの餡掛け炒飯、アボガドのオリーブオイル漬け…
あの娘は女のコなのによく食べるなあ…、付き合った当初はビックリした。でも、パクパク美味しそうに食べる真希を見て、余計に好きになったのだ。そんなあの娘のために、僕は腕によりをかけて自慢の料理の数々を作った。
真希が帰ってきた。笑顔で出迎える。彼女は事もなげに僕の顔を一瞥すると、「ただいま。ご飯は?」と言い、洗い物の道着をドラム式洗濯機の中に投げ込んだ。
(中略)
僕は真希の涙を、舌を使って拭うのだ。ぺろぺろ、ペロペロ、ワガママなあの娘の、気まぐれの涙を。
そして、僕は一生涯かけて、真希のワガママに付き合うことを決めた。
(さて問題、僕と真希の間には何が起こったんでしょ?)
× 真希 ○ 希 ◎ 豚