数年前、私は遺書を書いた。
不思議なことに明確な理由はなかった。ただ、死にたかったのだ。
(遺書を書くに至らせた原因は色々あったが、説明しきれない上に特定が怖いので割愛)
遺書を書き終えた私は、玄関先にそれを置いて裸足のまま外へ出た。
ここから落ちたら確実に死ぬだろうな、と思いながらも壁から身を投げれないでいた。
それから後のことはよく覚えていないが、涙でグシャグシャになった母親の顔、これだけは忘れられない。
私がこうなったのはお前のせいでもあるんだ、という気持ちもかき消され、ただただ申し訳ない気持ちで一杯だった。
これが、私の短い人生の中で一番苦い記憶、自殺未遂(の未遂、くらいのレベルだが)の話。
今、私はそれなりに楽しく生きている。
優しい友人たちに囲まれ、可愛い後輩もでき、人生初の彼氏までできた。
自殺を肯定する気も否定する気もない。それは一人一人の状況、価値観で変わっていくものだろうから。
でも、少なくとも私は、あの時死ななくてよかったと思っている。