いえ、いい本ですよ。最初の数十ページは「えっ、そんなところから説明すんの? 話とびすぎじゃね?」と思って読んでましたが、ウチとソトの境界が絶対的なものでないことを理解させてから本題にはいるという、一貫したテーマの本でした。
それはいいんですが、読んでいるとですね、僭越ながら、なんとなく自分が書いたものを読んでいるかのような錯覚におそわれたのですよ。いや、もちろん自分にこんな文章は書けっこありませんが、背景にある知識、もっというと読んだ本まで、自分と重なりまくり、透けて見えまくりなんです。で、「こう思っている人が多いけどほんとは違うんですよ!」的な話ってしたくなるもので、それをやっちゃってしまった自分を見ているような感じですか。本として話題は一貫しているので、けっして余計なことが書かれているわけでもないんですけど、強調しているポイントからにじみ出てきてるんですよね。
ところで、この知識セットの重なり方、偶然ではないはずです。もしかすると、他にも同じような知識セットと解釈の方向性をもった人が、ネット社会に浸かっている人たちのなかに、たくさんいるんじゃないかな。いませんか? これらの知識、それぞれ別の論者の主張によるものですが、でもそれらをセットにしてばらまいたのって、極東ブログのfinalventさんだと思うのですよ。私は、あの人が小出しにしてくる知識の断片からキーワードを拾って読むべき本を決めたことが、少なからずあります。あー、やっぱりそういう人たくさんいるんだな、というのが『レイヤー化する世界』読んだ感想ですかね。本論と全然関係ないところに反応してしまってすいません。