「あなたのために行きます」と告げていなかったので、がっつり一日拘束するのも悪いと思い、夜ごはんだけ一緒に食べることになった。前抱いた印象と相変わらず、器の大きなひとで、趣味も合うし、私の目は完全にハートマークだった。でも、そのまま「それでは、また」と終電でお互い帰った。ただ好感度が上がっただけだった。核心に触れることはできなかった。
このひととは、普段週一ペースでメールのやりとりをしている。メールをやり始めるにあたり、仲介してくれたひとが「いまも恋人募集中なんですか」と言ってくれたので、相手も感づいているのかな、と思っていた。だから、今回で決まるかな、と思ったけどそんなことはなかった。でも、ちょっとだけ汗をかかされた発言があった。
「増田さんって肉食系だね」と言われた。私とそのひとはそんなに恋愛関係について話し合うことはしてこなかったので、判断材料といえば私がそのひとにメールを送ったことくらいだろう。でも、私は普段共通の知人を通じてアドレスをゲットするとか、そういうことはしたことがない。かっこつけでもなんでもなくて、本当に「あなただからこんなことをしたんですよ」という感じ。本心からそうなのに、そう言われたときに私は言葉に詰まってしまった。がっついてる女だと思われたのだろうか。見苦しかったのだろうか。もがく私の様を、引いてみていたのだろうか。言われた瞬間にそう思ってしまって、「そ、そんなことないですよー」とごまかして笑うことしかできなかった。その後の会話は、その発言が衝撃的すぎて忘れてしまった。一ヶ月後にまたそのひとと会うことになる。私はそのときに告白できるだろうか。今日も私だけがそのひとのことを好きで、そのひとは私のことなんか考えてもいないんだろうなあと考えると、悲しいし苦しいし、恋愛はおろか眼中にすらないのだろうかと考えると、もうね。