■ドライブ・マイ・カーの感想

全体の感想は、良い。薄い短編小説みたいな作品だと思った。

以下簡単に箇条書きで

• 作品のメッセージ、人と人は分かり合えないところがあるとか、それでも生きなければいけないとかは、村上春樹をよく読んでいた自分としては村上作品によくあるやつねと思った。
• ただ個人的には、村上春樹の魅力はそういう芯の部分ではなくて、ファンタジー的な要素世界観の面白さだと思っていたので、その「面白さ」はあまり取り入れられてなかったと思う。一応山賀とかやつめうなぎとか出てくるけど、それは劇中劇として出てくるに過ぎなくて個人的に感じる面白さまでは行っていない。例えば映画中に現実と虚構の境目がわからなくなる、みたいな展開はなかった。もちろん、そうする必要はまったくないのだけど、村上春樹との違いという意味ではこのように感じた。
• 割りと現実世界での話なので、村上春樹的なご都合主義がないのも違いの一つかと思った。つまり、ドライバーの女と男女の関係になるのが村上ワールドだが、そうならない割と現実的な感じがこの映画だった。テイストの問題か。ただ、それにしてもドライバーの女の家の跡地に行ったとき、おじさんが感極まって女をハグしちゃってたのはあまり感情移入できなかった。このおじさんなんぞと思ってしまった。それよりはセックスしてしまっていた方が分かりみというか通じ合うものがあるのかなと思った。もしくはハグしないか。それは、エバのミサトさんがシンジに「これは大人のキスよ、続きは帰ってきてから」とか言ってたシーンの方が通じ合うものがあるように自分には感じられた。あそこはハグでは中途半端な気がした。やるか、やらないか。自分の悪い思考の癖なのかもしれない。
• チェーホフについては読んだことなかったのでそれを読んでいたらまた違う感想にもなると思った。

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