2021-09-11

BIを導入すると誰が損して誰が得するのかを計算した

計算したのだが……致命的な問題は後述する。

 

以下の表では、日本人全員にBIを給付して、そのための資金現在給料にかかっている税金に比例させる形で徴収した場合トータルでいくらプラスマイナスになるのかを給料の額ごとに計算した。

ただし、事務コスト労働意欲の減退も考慮していない。

 

BIはとりあえず年120万円で計算した。

この場合、たとえば給料が300万円台だと年30.1万円のプラス、400万円台だと6.7万円のマイナスになる。

なお、前述のとおり事務コスト労働者の行動も考慮していないので、たとえばBIを2倍の年240万円にするならプラスマイナスも2倍になるだけである

 

給与階級給与所得者数[千人] 現在支払っている税の総額(階級)[億円] 現在支払っている税の構成比(階級) BIのための徴収総額(階級)[円] BIのための徴収額(一人当たり)[円] BI導入による収支(一人当たり)[万円]
0-100 4,568 140 0.001299449 1.95385E+11 42772.57025 115.7
100-200 7,432 1090 0.010117136 1.52121E+12 204684.1458 99.5
200-300 7,838 3201 0.029710965 4.46734E+12 569959.2716 63.0
300-400 8,907 5736 0.053240268 8.00521E+12 898754.542 30.1
400-500 7,652 6947 0.064480499 9.69529E+121267026.637 -6.7
500-600 5,328 7133 0.066206909 9.95487E+12 1868406.699 -66.8
600-700 3,397 6352 0.058957842 8.8649E+12 2609626.479 -141.0
700-800 2,315 7009 0.065055969 9.78182E+12 4225406.27 -302.5
800-900 1,542 6798 0.063097514 9.48734E+12 6152621.437 -495.3
900-1000 1,012 5937 0.055105905 8.28572E+12 8187474.195 -698.7
1000-1500 1,850 20560 0.190833318 2.86937E+13 15510106.85 -1431.0
1500-2000 436 12225 0.113469714 1.70613E+13 39131436.08 -3793.1
2000-2500 124 5598 0.051959383 7.81261E+12 63004942.1 -6180.5
2500- 151 19012 0.176465128 2.65333E+13 175717196.7 -17451.7

 

見ての通り、1000万円超の給与人間はほぼ全員、収入マイナスになる。

単にBIの収支がマイナスになるだけでなく、給料をすべて税に取られてもまだ足りない額のマイナスである

(たとえば、給料が2000万円から2500万円だと、BIを120万円受け取り、そのための税を6300.5万円取られる。)

というわけで、この計算で示されたのは、「BIを導入すると誰が損して誰が得するのか」ではなく、「この調達方法ではBIが導入不可能なこと」である

 

このフレームワーク内でBIの可能性を見出そうとするなら所得税の累進性を下げることになるが、言うまでもなく、全員から同じ額の税を取って同じ額を給付するのは無駄以外の何物でもない。

このあたりを踏まえた実現可能性を、他のBI支持者たちはどのように考えているのだろうか。

 

データの出典

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf 第21表

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

 

やりたかったけどできなかったこ

労働供給関数を推計できるような個票データが公開されているなら、やりたい。

所得と合わせた縦横の分布がわかるデータがあれば、やりたい。

そんな推計があってもお手盛りだろうから、探しもしなかった。

これも所得と合わせた縦横の分布がわかるデータがあれば、やりたい。

現在日本でBIを導入して老人に追い銭をやるのはクレイジーだと思う。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん