師走も近づく昨今、また一人旧友が命を絶ったという連絡を受けた。
霜が降りそうな朝、葉がほとんど落ちた樹にぶら下がっていたのだという。
旧友といったのは、この4,5年のあいだお互いに行き来することがなかったからだ。
最後に会ったのは、彼が事業を始めてまもなくの頃だったと思う。そのころ彼の会社はプレスリリースなど出して、彼は多くの人に囲まれていたから、軽く立ち話をするくらいのものだった。
彼の会社は、特定のカテゴリの顧客に、ネット上で服をセット販売するという事業を展開していた。開始当初は、ネットサーフィンしていると、彼の会社のバナーを見かけることがあったが、最近はまったく見かけなかった。
というか、彼の訃報を聞いて、ようやく彼の事業を思い出したほどだ。
共同創業者に近い間柄にある知人とこれまた数年ぶりに電話で話したが、彼の死去の原因は、資金調達の失敗にあったのではないかということだった。
運転資金が底をつきかけて金策に走った旧友は、投資してくれる可能性のある人物と会食し、共同創業者とともにレストランに行ったのだという。
交渉は結局のところ不調に終わり、2日後に彼は命を絶った。
「何か思い当たる原因はなかったの」と私は知人に聞いた。
「最初は先方もかなり乗り気だったけれど、急に表情を変えて、翌日に断ってきたらしい」
「なにがきっかけだったのだろう」
「さあ、思い当たることといえば、彼が会食の席でなにかまずいことをいったのではないかということらしい」
「まずいこと?」
「まずいことというか、いい間違いといった方がよいのかもしれない。肉料理がメインのコースを頼んで、最初にフランスパンが運ばれてきたらしい。それで、グラスを傾けながら事業の話をしているうちに彼が言ったらしい、「このバケット、うまいですねぇ」と。そしたら先方が急に眉根をひそめて、「ああ、バゲットですね」といったそうだ。彼はハッとして話題を変えたが、そのあと、先方の表情は硬いままだったらしい」
そんなことがありえるのだろうか。
ここにはデマが溢れているから、これを書いている私も、まさかといいたい。
もし上記のことが交渉不成立の原因だとしたら、彼はたった一度の言い間違いのために命を落としたことになるのではないか。
バケットとバゲットの区別などどうでもよいという意見はよく聞くし、私も実際にそう思うことがある。
だが、この間違いが命取りになることがあるのだとしたら、私は今後間違えることはないだろう。
http://b.hatena.ne.jp/entry/anond.hatelabo.jp/20150730072741 この人かな?
2015-08-16 「フランスパン」を「バケット」っていう奴なんなの? https://anond.hatelabo.jp/20150816184751 2015-08-24 バケットで一気に冷めた話 https://anond.hatelabo.jp/20150824233756 2015-10-29 自称心理学...
正月休みと盆休みになるとバゲットのことが気になる増田
バケット増田の人生転落理由て 絶対フランスパンの言い間違いじゃないと思うな
これを使うのだ バゲット増田傑作選 https://anond.hatelabo.jp/20190817104035