実際に私の姉がドイツに住んでた頃、ドイツ人の男と15年ほど付き合ってたんだけど、
そいつが突然家を建て始めたから、ようやく結婚か!と期待してたら、
「今度、結婚するんだ。妻ともどもよろしくね」と言われたそうだ。姉が40を幾つか過ぎた頃の話。姉は出産を諦めた。
しばらくして、バチが当たったのか、その男は大病して、普通の生活はできなくなったらしい。
確認は取ってないが、もう生きていないかも知れないとのこと。
一方の姉は、直後に帰国し、すぐに語学力を活かせる仕事で活躍し、若い男を侍らせ毎日楽しく飲んで遊んで過ごしている。
結婚は諦めて無いそうだが、若い男達にはただの楽しいおばさんとしか思わていない、と私に愚痴をこぼすのだが、実に充実している表情だ。
私はだいぶ遅かったものの運良く結婚でき、子供がいるのだが、姉は我が子を自分の子供のように可愛がる。
いつでも子供が今必要そうなものを事前に調べ、お土産として持ってくる。そして子供相手に真面目に遊ぶ。
その誰に対しても誠実な姉の姿を見ていると、あのドイツ人の顔が思い浮かび、呪いのような憎悪がこみ上げるが、
姉は、小さい頃から可愛かったあんたとそっくりな子供にしょっちゅう会えるし、
好き勝手遊べるこんな生活も悪くないと豪快に笑うので、呪いの詠唱は途中でモゴモゴと立ち消える。
幸せの定義は一つでは無いが、最低限、相手を敬えない人間とは絶対に幸せになれない。それだけは言える。
姉に、50になろうが60になろうが構わないが、お互いが尊敬し合える相手が現れる事を祈る。
勿論あなたにも。