2013-04-22

なぜ、知性だけでは満たされないのか

さっき食べたバニラアイスから、涙の味がした。別に泣きながら口に入れたわけではない。製造する中で涙が入り込んだわけでもないだろう。心が泣いていたのである。悩みや不安が、感覚を曇らせてしまい、舌は味わうということを忘れてしまった。好きなものを食べる時くらい、嫌なことは忘れよう。そう心がけても、なかなかうまくいかない。ふとした時に悪い記憶が蘇っては、頭を、感覚を、支配してしまう。

はてなを利用するようになってからアルファブロガーと呼ばれるような方が書かれる、大変知性にあふれた文章に触れられるようになった。しかし、彼らのブログを読んでいると、たまに、違和感を覚えてしまうことがある。ネットで有名になり、本を出してお金にも恵まれているはずだというのに、ちょっとしたわがままや、悪い意味でのこだわりが、ふと顔を出してしまっていることが少なくない。時には、炎上にまで至るほどの失言を犯す例もある。いったい、何が彼らをそうさせるのか。

理由は2つあると思う。まず1つ目は、知性だけでは満たされない何かが本人にある、ということである。いくら富や名声を得た所で、幼い頃のトラウマや、今抱えている悩みがスーッと消えてしまものではない。そして、そういう負の念は、ことばの中、すなわち、書かれた文章の中に、意識するにせよしないにせよ、混ざってくる。特に劣等感や、過去における悔いは、どんなに言わまいと努力しても、浮かび上がっては思考の中枢を奪ってしまう。アルファブロガーとて人間から、そういうこともありえるのではないだろうか?

もうひとつは、その満たされなさについての答えを求めるために、より高い知を欲しているのではないか、ということである。もしかすると、彼らは人並み外れた知性を持つがゆえに、どこか孤独を感じているのかもしれない。しかし、自分をもてはやす読者たちは、悩みを解決することも、後悔の念を満たすことも、できはしない。だから、あえて世間挑発し、自らについての答えを探しだそうしているのではないか

凡人の私は、彼らと同じ悩みを抱えることはない。彼らの支えになることもできない。だが、一緒にお菓子を食べることならできる。

アイス、ご一緒にいかがですか?ふたりで食べれば、ひとりの時よりおいしいですよ。

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