現在大学2年の処女です。モテません。軽いオタク(主にゲームとラノベ)です。
地の顔は美人ではないけどブスでもないと思います。
中高と女子校だったため、男の人と親しくした経験はありませんでした。年齢=彼氏いない歴です。
そんな私が去年、恋をしました。相手は同じサークルの先輩です。
好きになった理由はたくさんあるけれど、決定的だったのは、飲み会で私が「モテないんです」って話をしていたとき、「増田ちゃん可愛いと思うよ」って言ってくれたことです。
それから、彼に会うために授業のない時は極力部室に行くようにしました。
今までは、恋をしたことがなかったわけではないけれど、相手は塾講師とか地元のバンドのベースとかだったので、会えるのは授業やライブくらいで、「好きな人とお喋り」ってしたことありませんでした。
だから、生まれて初めて「好きな人とお喋りする」ことができて、ものすごく楽しくて、ものすごく幸せでした。
彼も部室のヘビーユーザで、活動のない日も来ていたので、2人きりになることも何度もありました。
土日も部室に行ってみると、彼が来ていて、1日中2人きりだったりしました。2人だけの秘密の時間みたいでワクワクしました。
会話した時はもちろん、会話しないで彼が本のページをめくる音を聞いているだけでも満ち足りた気持ちになりました。
彼がTシャツを着替えているところを、こっそりチラ見したら、意外と胸毛があってドキドキしたりもしました。
「どうしていっつも部室にいるんですか?」と聞いてみたら、家庭環境があんまりよくなくて、特に義理の父と仲が悪いから家に帰りたくない、と言ってました。
そんなプライベートな話を、私に話してくれたのがすごく嬉しかったです。
勇気を出して、「駅まで一緒に帰りませんか」と言ってみたら、OKしてもらいました。
3回くらい一緒に帰りました。すごく幸せでした。
サークル活動でも、彼と同じ係に立候補して、一緒に仕事をすることが多くなりました。
「お前ら仲いいよなー」って別の先輩から冷やかされました。彼は否定しませんでした。
私は、モテない女の勘違いで、「私たちって、もうほとんど付き合ってるんじゃないかな」と思うようになってきました。
少なくとも、好かれてるとは思っていました。
こっちの気持ちは見え見えだったと思うので、それを拒絶しないってことは、気があるってことだと思っていました。
迷惑だったら、部室に2人きりになったまま何時間も過ごしたりしないはず。図書館でもカフェでも、他に時間をつぶせる場所はあるのだから。
ところが、答えは「考えてみる」でした。
飲み会で私の隣の席に座ってくれなくなりました。
部室で2人きりになりそうな時は、すぐ帰ってしまうようになりました。
「今考えているところなんだから仕方ない」って思って、返事をせかすことはせず、自分はなるべく普段通りに振る舞おうと決めました。
返事はめったに来なくなったけれど、メールも今まで通り送っていました。
告白してから1ヶ月後。
衝撃の事実が明らかになりました。
彼と、私の友達のA子が、最近付き合い出したというのです。
まったく予想していないことでした。私自身は「軽いオタク」程度ですが、A子は「相当ディープなオタク」で、かなり太っているし、服装にも全然気を遣わないタイプです。異性から見て魅力的なタイプには思えないのです。
私は、到底その事実を受け入れられませんでした。第一、「考えてみる」の答えもまだ聞いてません。
答えを聞くまでは、フラれたわけではないのだから、今まで通りに接しようと思いました。
だけど、確実に接点は減ってきました。
サークルの係もなぜか引き離されてしまいました。
電話したら着信拒否されました。
何がなんだか分かりませんでした。私の何が悪いというのでしょうか。
絶対にA子よりも私のほうが女としての魅力があるはずなのに、なぜ彼はそれに気づいてくれないのでしょうか。目を覚まして欲しいです。そのためには、誰も否定できないくらい、私がもっと魅力的になるしかありません。
ブランドもののバッグや、流行の洋服や、高級な化粧品をたくさん買いました。
外見だけではダメだと思って、本を1日1冊読むことにしました。勉強も頑張って、ほとんどの授業で優をとりました。
頑張った甲斐あって、「才色兼備だね」「佐々木希に似てるね」とか友達に言われるようになりました。最近の美容技術ってすごいですね。お金さえかければ、私みたいな十人並みの女子でも佐々木希になれるんです。
ナンパもされるようになりました。サークルの別の先輩から口説かれましたが、もちろん断りました。
彼は全然口をきいてくれなかったけれど、時々部室ですれ違う時に服がちょっとこすれるのが嬉しかったです。
部室では、彼に聞こえるような声で、A子に「A子もダイエットすれば?」「A子ももうちょっと服装に気を遣いなよ」「A子スキンケアしてないでしょ?だからニキビ直らないんだよ」「A子って全然本読まないよねー」などと話しかけて、自分の格の違いをアピールするようになりました。
努力の成果が形になってきて、自信がついてきたので、それそろ彼に、もう一度自分の気持ちをぶつけて、「あの時の答えを聞かせて」と言おうと思いました。
ところが、避けられているのでなかなか言う機会がありません。頑張って2人きりになろうとしても、逃げられてしまいます。これでは、いつまで経っても告白ができません。
帰り道、廊下、教室、いろんな場所でどうにかして2人で話そうとしましたが、ダメでした。
2人きりのシチュエーションに持ち込むのは諦めました。
そんなある日、部室に私、彼、A子の3人きりになりました。
今を逃したらもうチャンスはない、と思って、彼に近づきました。
さりげなく近づくとさりげなく逃げられてしまうので、堂々と近づきました。
「先輩って、どういう女の子が好きですか」「へ?」「見た目に全然気を遣ってないようなデブって好きですか」「いや……」「そうですよね、先輩がA子と付き合ってるって噂、嘘ですよね。先輩はもっと、可愛い女の子が好きですよね」「いや……」「答えてください」「いや……」
沈黙。
彼が完全に黙りを決め込んでいるので、今度はA子に言いました。
「もしかして、彼と付き合ってるつもりでいるの?」「それは……」「自分が彼にお似合いだと思うの?」「そんな……」「彼のこと、どんだけ知ってるの?」「その……」「彼はね、もともと私と部室でずっと2人きりで過ごしたり、一緒に帰ったりする仲だったの。なのに、私との関係を終わらせてないまま、あなたにもちょっかい出してたの。二股かけられた気分はどう?」「……」
しばらくして彼は、「君が最低な女なのはよく分かった」と言って、A子を連れて出ていってしまいました。
さすがに私でも、ああフラれたんだなあ、と思いました。思っていたよりショックではなかったです。思えばこの半年、ずっとゆっくり殺され続けていたようなものだったので、やっと息果てることが出来て、むしろホッとしました。
翌日、サークルには退会届を出しました。
初めてのリアルな恋の結果、私が失ったのは、サークル仲間、10年来の友人だったA子、彼を想っていた膨大な時間。
そして残ったのは服やコスメなどに費やした借金50万円だけでした。
男って馬鹿ですね。私と会話をするためだけに、1時間に5000円以上払んですよ。「会いたいから来てよ」って1行メール送るだけで、わざわざお金払いに来てくれるんですよ。
私と会話するためにはお金を払わなければいけないのに、今まで彼とタダで会話させてあげてしまっていたことが、すごく勿体なかったと思います。
これからはもう、ご飯もおごってくれないようなショボい男と付き合う気はありません。
1つ困るのは、処女なのでいわゆる「枕営業」が出来ないことです。さすがに、初めての時は好きな人としたいので。
正直、使えるものは枕営業でも使ってしまえば、ナンバーワンになるくらい簡単だと思います。だから早く、次の好きな人を作って、処女を捧げてしまいたいです。一度この忌々しい処女を失ってしまえば、次からは「女の武器」として有効活用できるのに。
でも、彼以上に好きな人には、未だ出会えません。
「彼よりも条件の良い人」は星の数ほどいるだろうけれど、それじゃ嫌なんです。「彼みたいな人」は彼しかいないんです。
私は一生、彼の呪縛から逃れられないのでしょうか。
馬鹿な男からいくら金を巻き上げても、失恋の傷は癒えないし好きな人も戻ってこないよ。
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