増田は田舎者で、東京に対する根拠のない憧憬のようなものがあるんだと思う。
東京駅は非常に混雑していて、誰もが足早に歩いていて、平たいエスカレーターに乗っているみたいに俊敏だった。
立ち止まるためのスペースはなくあたふたしていると数人とぶつかってしまった。
相手は一瞥や舌打ちするようなこともなく、何事もなかったようにすれ違っていく。
自分一人だけが顔を上げ、現実を見ているはずなのに、それなのに増田だけが現実を見ていないような心地になった。
増田も周りに倣ってスマホを取りだし、画面を見つめた。そこに映っているのは地元の田園と、時刻と、アプリのみで、そこに現実はない。
増田は顔を上げて現実を見ようとしたけれど、誰とも目が合うことはなく、たくさんの人に囲まれながら孤独ばかりに囲まれた。
スマホに助けを求めるようにスマホを見つめた。メンバーになっているVtuberのチャンネルを開こうとした。
そのとき不意に汽笛のような音が聞こえ、増田はハッとしてスマホをしまい、ゆっくり歩き始めた。
東京は立ち止まって居るには辛過ぎる。
孤独はスペースにある。
東京はコンビニにイートインがなくてびっくりした。 車で入店するわけでもないのにどこでコーヒー飲むのか謎よね