これまで地方のど田舎、地方都市、大都会東京、に三分の一ずつ住んだ。
どれも面白くて、あちこち住んだことで、この国の形とか、場所によって全く違う現実を知ることができてよかった。
人が多いのがいいか、自然が多いのがいいか、という違いなんだと思う。
都会の公園で座って空や木を見ながら、故郷のど田舎の空や木を想像してなんとか保っていた。木の緑の輝く色とか、空の中で風に揺れている様とか、お濠の水が空を映してゆるゆると照り返しているのを見て、遠い川や森の膨大な質量のことを思い出していた。
そのとき、芸術っていうのは自然から離れた時に自然を再現しようとしたものなんだと思った。自然そのものよりも複雑なアートはない。
そう感じたのは、上京したてのホームシックもあっただろうけど。
文化は東京にしか生まれないんじゃなくて、地方や自然の輝きを東京がかき集めて組み合わせている。それを無数の人間が競争して磨き上げている。その意味では東京の輝きは強い。