正確には人を殺す他人の夢だ。
俺は彼の手記を読んでいる内に、いつの間にか罪を犯す前の彼になっていた。
それでもなんとか就職活動をしていた。
ブランド服メーカーの面接を終え、記念品として面接官のサイン入りコップをもらった。
面接会場付近にあった石の柱にコップを乗せ、記念としてスマホで撮ろうとした。
しかし音も立てずに視界から消え、必死に探した。必死すぎてカバンから弁当の中身が飛び散った。
大勢の人だかりまでできていた。その中の豚のような男がコップに気付いた。その事に俺も気付く。
俺は何食わぬ顔でコップを手に取り、逃げるようにその場を後にした。
散乱した弁当の中身はほったらかしに。
しかし豚男はそれを咎め、仲間に神輿で担がれながら、綺麗にしろよと俺を追いかけ回した。所詮お前は村田の息子かとも言った。
その言葉に燃えるような怒りを覚え、近くの民家から包丁を拝借し、今度は逆に豚男を追いかけた。命乞いする豚男を庇うように、俺の姉が出てきた。
という手記の言葉が分かるようだった。
その姉を押し除けて豚男の首を切ろうとしたところで目が覚めた。