2022-12-19

人を殺す夢

正確には人を殺す他人の夢だ。

彼は殺人鬼で既に自殺していた。

俺は彼の手記を読んでいる内に、いつの間にか罪を犯す前の彼になっていた。

 

俺は家族の誰かが罪を犯し、いじめられていた。

それでもなんとか就職活動をしていた。

ブランドメーカー面接を終え、記念品として面接官のサイン入りコップをもらった。

面接会場付近にあった石の柱にコップを乗せ、記念としてスマホで撮ろうとした。 

しかし音も立てずに視界から消え、必死に探した。必死すぎてカバンから弁当の中身が飛び散った。

大勢の人だかりまでできていた。その中の豚のような男がコップに気付いた。その事に俺も気付く。

俺は何食わぬ顔でコップを手に取り、逃げるようにその場を後にした。

散乱した弁当の中身はほったらかしに。

しかし豚男はそれを咎め、仲間に神輿で担がれながら、綺麗にしろよと俺を追いかけ回した。所詮お前は村田の息子かとも言った。

その言葉燃えるような怒りを覚え、近くの民家から包丁拝借し、今度は逆に豚男を追いかけた。命乞いする豚男を庇うように、俺の姉が出てきた。

さないでと懇願された。

「でもなんだかなぁなんだかなぁ、むねがかんちがいする」

という手記の言葉が分かるようだった。

その姉を押し除けて豚男の首を切ろうとしたところで目が覚めた。

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