学生の頃、ギターの弾きすぎで指が腱鞘炎になった。
だがコンサートがあったので無理をして続けた。
そしたらばね指になってしまった。
コンサート後に病院に行くと、
安静にして、治らなければ手術しかないとのこと。
数ヶ月してもダルさが抜けなかったが、
学生の俺に手術するほどの勇気は湧かず、
そのままギターは弾かなくなった。
あれから10年経った。
最近、本気で好きな人ができた。
別に仲良くもなっていないが、俺はギターを弾きたくなってきた。
曲がりなりにも曲を作って路上で弾き語りもしてきた。
いつ歌えるか分からないけど、
オリジナルでもカバーでもいい、
彼女にギターで弾き語りを聴かせたいと思った。
ただ、まだ指は腱鞘炎の後遺症が残っていた。
1時間も弾くとダルくなり2、3日くらい弾けなくなる。
よし、手術をしよう。
おれは会社の休みをとり、「手の専門医」を探し、その整形外科を訪れた。
触診、レントゲン、超音波診察などをした結果、医者はこう言った。
「指の動きもいいし、手術は必要ありません」
「・・・え?でもすぐダルくなるんです」
「一度腱鞘炎になると再発しやすくなるんです。
ただそれは手術では治らないので、休み休み使ってください」
「そんな・・・」
ああ、俺は彼女にギターを聞かせることはできないのだ。
ただ、休み休み軽くなら弾けなくはない。
俺はおさえやすあ
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