私が知る限りの推理小説では、犯人は誰にもわからないようなトリックを使って犯罪の解明を撹乱する。
その理由は殺人は悪だと犯人は考えてあるいるからこそ、殺人がバレないように犯人はそうする。だからこそ推理小説の形式が成り立つ。
またこの殺人は悪ではないと考えている犯人は、犯行が探偵・刑事にばれた後は、被害者は殺されてもしかたないと主張するシーンがたいてい挿入される。これは犯人は、理由もない殺人は悪だと認識しており、その他の登場人物もそれを共有しているからそのようなシーンが成り立つ。これにより、なぜ殺人などという滅多には起こらない事件が発生するのかの原因となり推理小説のストーリーが展開する。
どちらにせよ殺人は悪であるということが大前提であるからこそ推理小説は成り立つのであって、推理小説の作者は殺人を肯定しているとは感じたことはなかった。
これが探偵役・犯人役でゲームの勝敗を決するためだけに殺人が行われ、その犯行になんらの罪悪感も弁明も表現されてないような推理小説を何度も書くような作家にはまた別の感想をいだくかもしれない。