そろそろ迎えが来る頃だ。まあ、知っていた。そろそろ屠殺の時期だってことは。観念するしかない。豚に生まれたからにはいつかは殺されるってことだ。だからこそ食事も与えられた。管理された。みんなが優しくするのは食べるためだ。人間ってやつは本当に残酷だと思う。
そろそろトラックが来る頃だ。みんな怯えている。ブーブー言っている。豚だから当たり前か。臭いがすごいが、自分も臭いから気にならない。トラックが来て、飼育員が豚を追い立てる。嫌だが、俺も乗らなきゃな。
トラックが停まった。ここが屠殺場だ。すごい血の臭いがする。やばい。もうすぐ屠殺が始まるのが分かる。まあ、みんな殺される運命なんだって思うとちょっとだけ落ち着く。ひとりで死ぬわけじゃないから寂しくないという気もする。
小屋の中に入る。いきなり屠られるのではなく、まず体を洗って綺麗にされる。最期のひとっ風呂というところだ。優しいんだか残酷なんだかわからない。
綺麗になったところで次の部屋へ移動する。ここで電気ショックを与え、気絶したところで次の部屋で殺されるのだ。ほんと、外道だ。人外だ。どっちが人外だってとこだ。でも仕方ない。これも運命だ。ため息をついた後、俺は手に持った器具で豚を気絶させた。
飼育と屠殺は別の人がやるぞ
君は屠殺される側なの?