2021-02-11

バイト日記

 ストーカー客が与える喜びに目覚めたらしく、年始から何度か菓子をくれた。最初はAさんに無言で菓子押し付けてきたのだが、明らかに二人ぶんであり、これは二人で分けろってことなのか、それともAさん一人にくれたものなのか、あるいはこれまでのあれこれの流れ的に私一人にくれようとしたものなのかと、Aさんと論争の上押し付け合いになった。そして何度目かでもう諦めて、貰ったら二人で山分けして持って帰る、ということになった。

 ストーカー客が菓子を渡す相手は必ずAさんだったので、菓子を貰った礼もAさんだけが述べて私は知らんふりをしていた。

 ところが先日は、ストーカー客は私に菓子を渡してしかも「これ二人で分けて食べて」と言った。一体誰向けなのか不明だった菓子の宛先が、私とAさんの両方宛てだということが初めて判明した。

 当店でストーカーから菓子を貰うのは私とAさんだけだ。なんか、ピンポイントで狙われている。

 Aさんが、流石に一方的お菓子プレゼントの頻発が恐くなってきたというので、じゃあ反応しなきゃいいんじゃね? と私は言った。お礼を言うのは貰ったその場限りにする。貰った日の次のシフトで「先日はありがとうございました」とかいうと、催促してると思われるって言う人も世の中にはいるくらいだし。

 だがAさんは、この間私がストーカーから菓子を渡された時は事務所に引っ込んでいたので、ストーカー客に礼を言ってない。「二人で分けて食べて」って言われた限りは、お礼を言わないのは良くないと思う、とか、何故か急に真面目なことを言い出した。

 そして、Aさんはストーカー客にお礼を言ってしまった。私はいつもように知らんふりをしていた。そしたらストーカー客はAさんに言った。

「美味しかった? じゃあまた何かいいもん見つけたら持ってくるよ」

 ほらパパ活押し付けみたいになったじゃん。今日からAさんと私、パパ活姉弟だよ!

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