お客様がお金を払う時に、五百円玉を人差し指の上でくるっと回してから人差し指と中指で挟んでパチッと私の掌に打ち込んだ。それはなんかリアクションして欲しそうな感じがする動作だし、私もリアクションしようと思えば出来るやつだったけれども、ストーカー客がストーカーになったきっかけはほんの些細な会話だったよなぁ、と思い出して、ノーリアクションで行こ! と思って黙ってレジの自動釣銭機に五百円玉を投入した。おつりは二百八十数円だったか、小銭じゃらじゃらだったので、たとえば「十円のお返しでーす」と言いながらお客様の掌に十円玉を打ち込む、みたいなことをつい魔が差してやったりしないで済んだ。
つまんないことで粘着客を製造しないように、気をつけなきゃ……。
Aさんいわく「やたら糞客を引き当てるのが上手い」というDさんに初めて話しかけられたのだが、藪から棒に、
と言うので、
と答えたら、そいつから何をされるのか聞かれたので、直接加害はしてこないけど毎回私のシフトの夜だけ来て私のことを40分くらいねっとり観察して帰る、と言ったら、
「それは気持ち悪いですね! やっばーい、どういう奴か見てみたいなぁ~」
とやたら楽しそう。これもしかしてストーカー客のお面相次第では「愛されてますねー!」とか「付き合っちゃいなよー!」とか茶化してくる面倒臭いヤツなのではないだろうか。
うわ~…。若い頃、服屋やレンタルビデオショップの店員さんとかに一目惚れして、「どうやったらキッカケが作れるかな」とか考えたことある。 何も実行しなかったけど、相手からし...