2019-08-09

ある日、父が拳銃を持って帰ってきた。

「天気の子」を観て、ふと思い出したエピソードがあるので、ちょっと書いてみる。

自分小学校低学年のころのことだった。

ある日、父が拳銃を持って帰ってきたのだ。

拳銃である

たぶん、酔っ払っていたのだろう。

酔うと、お調子者になったり不機嫌になったりする父であった。

その拳銃は、「トイレで拾った」「紙袋に入ってた」とのことだ。

無論、父もホンモノだと思っていたわけではない。おもちゃに決まっている。

とはいえおもちゃからといって、持って帰ってくるのはちょっとどうかしている。

で、持ち帰ってどうしようというわけでもなかったため、

拳銃は、僕ら兄弟に与えられた。

ゴツくて大きくて重い拳銃だった。金属製である

銃身の横に刻印があり、兄は、マグナムって書いてあると言ってたような気がする。

自分アルファベットが読めなかった。

全体は鈍い銀色。それなりに古いもののようで、瑕が多い。

銃口はパテか何かで完全に塞がれており、

撃鉄は短く切られてリボルバーまで届かないようになっていた。

いわゆるモデルガンというのはたいていプラスチック製だ、その程度の知識はあった。

それで、金属製ってのはやっぱりまずいんじゃないのか?

もしかしてホンモノなのでは……という疑いが生じたわけだけども、

それでどうするということもなく、しばらくおもちゃ箱に収まっていた。

テレビ刑事ドラマで見かける拳銃は、たいてい両手のひらに乗っかるくらいのサイズだ。

それに対し、こちらの拳銃はゴツくてでっかくて、かえって生々しさが薄かったということもある。

玉は出ないし、バール並みの重さがある。

片手で持っていられないほど重かったので、おもちゃとしては使い道がなかった。

そのうち普通にゴミとして捨てたのだと思う。

とくにオチはないが、今でもアレが、ホンモノだったのかおもちゃだったのかわからない。



推測するに、銃規制がいろいろと厳しくなる前のモデルガンだったのだろうな。

そのころ、改造モデルガンが実際に使われるという事件がよくあった気がする。

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