多分何かあるだろう、と言う確信ならまあ理解できる。何もないわけではないので、何かがあることはほとんど自明であるからだ。
でも神を信じている人たちの神というのは「何か」というのではなくて、もっとちゃんとした、具体性を持った、人間的で知性と人格を持った何かだ。そして彼らは、神が一人だけだと信じている。
だから例えば俺が突然、ほかの人からはわからないような理由で神の存在を確信したり、あるいは神の声を聞いたとか、神の姿を見たと主張した場合、俺の信じるその神は、彼らが信じる神と同一でなければならない。
なんで同一だとわかるんだ? 定義上神は一人しかいないというのなら、むしろ、神の存在をなんらかの方法で感じている人間が複数いる場合、実は皆異なる何かを神と認識していて、その中の一人だけが正しいあるいは、全員が正しくなく、神は全く別にいるということもありうる。
彼らは神を信じているというが、彼らは本当に同じものを信じているのか? 実はみんな勝手に想像を巡らせていて、同一の神なんか持っていないだろう。
何もないわけではない? いや、何もないだろ