最近、新しいパソコンを手に入れた。いや、違う。それは嘘だ。僕は新しいパソコンを手に入れてなどいない。新しいパソコンを手に入れたと書こうと思ったのは彼女が新しいパソコンを手に入れていてうらやましいと思ったからだ。いや、違う。僕には彼女などいないのだった。ネットに投稿する文章になるとどうしても彼女がいる設定にしたくなるが、僕に彼女がいたことはない。それはたしかだ。
最近、新しいパソコンを手に入れたと書いた。そうだ。僕はたしかに新しいパソコンを手に入れたと書いた。それは本当だ。僕はこの文章を古いパソコンで書いている。これは彼女にプレゼントしてもらったパソコンではなく、両親に買ってもらったパソコンだ。今あなたは僕が「いや、違う。僕には両親などいない」と書くと思ったかもしれないが、それは違う。僕には両親がいる。それはたしかだ。
最近、新しいパソコンを手に入れた。僕はそれを両親に買ってもらった。いや、違う。僕が買ってもらったのは古いパソコンであって、新しいパソコンではない。僕は古いパソコンでこの文章を書いている。キーボードが手になじみ、実に快適だ。当分新しいパソコンを買ってもらうことはないだろう。次に買うパソコンはバイトして貯めたお金で自分で買うかもしれない。いや、違う。僕はバイトなどしていなかった。それはたしかだ。バイトの面接に6回連続で落ちている。いや、それは嘘だ。7回だったか。いや、8回だった。僕はバイトの面接に8回連続で落ちている。それはたしかだ。
最近、新しいパソコンを手に入れた。仮にそういうことにしよう。僕は最近新しいパソコンを手に入れたのだ。しかしこの文章は古いパソコンで書いている。その古いパソコンは彼女に買ってもらったものだ。いや、違う。僕には彼女などいないのだった。古いパソコンは両親に買ってもらったものだ。いや、違う。僕には両親などいないのだった。僕は孤児院で育った。僕は孤児院に置いてある古いパソコンでこの文章を書いている。手に入れた新しいパソコンはまだ使っていない。僕がそのパソコンをどうやって手に入れたのかが問題になっている。僕が万引きをしたのではないかと主張する人もいる。しかしそれは考えにくい。いや、ちょっと待ってくれ。僕は孤児院では育っていなかった。それはたしかだ。僕は古いパソコンでこの文章を書いている。たしかに僕は「新しいパソコンを手に入れた」と書いた。だが、実際に僕が新しいパソコンを手に入れたのかどうかは僕にしかわからないことだ。それはたしかだ。いや、それは嘘だ。ぼくは目が見えないのだった。僕にはそれが新しいパソコンなのかどうかもわからない。現在この文章は音声入力で書いている。それはたしかだ。