むかしむかし、鬼ヶ島に鬼がいました。
鬼が海辺で洗濯をしていると、どこからともなく「どんぶらこ、どんぶらこ」と擬音が聞こえ、その方を見てみると大きな桃が漂着しつつあるところでした。
鬼は桃を持ち帰り、鋭い凶器で割ってみると中から男の子が出てきました。鬼は男の子に「桃太郎」と名付け、大切に育てました。
すくすくと育った桃太郎はある日言いました。
「パパ、海の向こうにパパを退治しようとしている輩がいるらしいね」
「そうなのかい?」
「僕は奴らを征伐しに行こうと思うんだ」
「だけど、あれだね、波風は立てないほうが。せっかく今は平和なんだし」
「何を言っているんだい。奴らはいつ攻めてくるかわからないじゃないか。僕はパパが心配なのだよ」
「そうかい、じゃあこれを持っていきなさい」
旅の途中、「桃太郎さん、その鬼饅頭、ひとつ私にくださいな」というのを三回繰り返し、犬・猿・雉を仲間に従えて、桃太郎は目的の場所へとたどり着きました。
じじいとばばあはわけのわからないことを言っていましたが、構わずに桃太郎はおじいさんとおばあさんを征伐し、きびだんごを鬼ヶ島に持ち帰りました。