2017-12-23

脇の下のおでき

小学校6年生の時だろうか、私の左脇の下にさなおできが出来た。

脇の下中央、目立ちやすいところに約3mmの丸い突起物、弾力があり引っ張るとすこし痛い、私の脇の下とごく薄い皮でつながるおできだった。中学校に上がる際、水泳ときなどに不便があるだろうとおできの治療(定期的に液体窒素をおできにかけ小さくしていく療法)をしに行ったが、液体窒素をかけるときのあまりの痛さと、定期的に通うという面倒臭さに負け、一回でやめてしまった。それから私は8年間、左脇の下のおできとともに成長し、生きた。大学受験合格発表を母と見に行った日も、朝まで友人と将来を話した日も、初めて大好きな人告白して振られた日も、私の左脇の下にはいつも約3mmほどの小さなおできがいた。

先日お風呂に入ってなんとなしに脇の下を触ったら、おできが石のように硬くなっているのがわかった。見ると、衣類の糸がおできに絡まって血が止まり、赤黒く硬化していた。

硬化したおできはまるで自分の体の一部ではないようだった、つねっても痛くなく、まるでふいに体にくっついてしまった小さなゴミのように、かろうじて私の脇の下にひっついるようだった。そんな風にコロコロと指でいじっていたら、ついにおできは私の脇の下からポロっと取れてしまった。取れたおできは黒かった。絶命の原因の白い糸が、おできと私をつないでいた薄い皮に巻き付いていた。その後もしばらく眺めていたが、うっかり手を滑らせておできを風呂場の床に落とし、失くしてしまった。奇しくも20歳誕生日の2週間前のことであった。

8年間なんとなく嫌だったおできと別れ、これからは「左脇の下におできがない女」として生きていけることが嬉しい。これからノースリーブを着ても躊躇なく両手を挙げられる。脱毛サロンに行っても恥ずかしくない。けれども、体を洗うとき剃毛するとき、私はもういないあの時のおできのあたりを、つい触ってしまうのだ。

  • この増田が14時3分 脇の下のおでき: たおやかな人生 このブログが13時51分

    • ブログの記事、今のところこれしかないのな どういうことかよく分からん

      • http://numemob.sakura.ne.jp/050601.php と https://anond.hatelabo.jp/20171208215518 これみたいに同一人物の可能性もあるけどどうなんだろうね

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