高校2年の6月に学校が死ぬほど嫌だったこと、マジで一生忘れないからな。
何十年経っても絶対に忘れないで、人生の節目節目で思い出してやるからな。
「高校時代は色々悩んだけど、やっぱり思い返すと楽しかったよ」
「人生でいちばん大事な時期じゃん! いいなぁ、俺も戻りたい」
「後悔しないように今のうちにいっぱい思い出作っておきな」
「朝礼とか授業とか、今はだるいかもしれないけど卒業したら絶対懐かしくなるよ」
大人のこういう薄っぺらな講釈は飽きるほど聞いた。本当にいい迷惑だ。頼むからお前の自己満足を押しつけないでくれ。お前の勝手な"青春"観を私に投影しないでくれ。
時間の経過によって思い出が美化されるというのはとても恐ろしい現象だ。30代・40代になって高校時代を振り返ったときに「当時はつらかったけど今となっては全部懐かしいなあ」なんて幸福に青春を総括するようなことがあっては絶対にいけない。
朝、教科書がぎっちり詰まった重たい鞄を背負い、学校へ続く長い坂を一歩一歩踏みしめるとき、16歳の私がいま感じているこの苦しさが何十年経っても記憶から消えないように、確かな身体感覚とともにしっかり体に刻みつけなければと思う。
ばかくせ。 それ覚えておいて何の意味があるの。