23XX年。人々の交際・結婚システムは記憶因子の解明とその操作技術の発展により大きく様変わりしていた。
まず異性からの相性チェック申込が行われる。
基本的にチケット制でチェック要望を受けた場合、双方が2時間拘束される。
その2時間でお互いの相性を確認し、確認結果としてOK/NGのみを専用端末に残し、記憶は完全に消去する。
双方の要望が相容れなかった場合、unmatchedとだけ通知がある。
相性チェック時の記憶は勿論、相手にとっての記憶もすっかり消されるため、傷つくことはない。
恋愛における心の傷やトラウマをなくし、交際・結婚を効率化推進する画期的なシステムとして、運用されはじめて早数年が経過した。
ヒモテ・マスダは交際・結婚システムを利用し、先日交際が決定した。
記憶こそないが、相性チェックがmatchedの最上評価で5回通過したのだ。間違いなく最高の相性の相手だろう。