「都市と星」は1956年にアーサー・C・クラークによって書かれた作品で、生や死までもが都市に管理される未来を描いている。ここで言う死は都市に回収されることであり、回収された人は赤子に作り変えられて都市から産まれてくることになる。
面白いのが、生まれた赤子が成長すると、前世、つまり回収される前の人の記憶がよみがえることである。そのため死はこの世界で恐れられるものではない。その代わり、人々は都市の外を異常なまでに恐れる。都市の加護が及ばないからか。
しかし、主人公は特殊な存在である。前世の記憶がないのだ。つまり、都市ができてから初めて産まれたのである。そして、彼には都市の外への恐怖がない。主人公は外の世界に興味を抱くようになる。
特筆すべきはその未来観であり、今読んでもはっきりと「未来」を感じる設定になっている。これが1956年に書かれたとは到底思えない。
これ以上はネタバレになるので書かないが、一度読んで欲しい。