奪い続けたのは父親で、奪われたのは母親。あと人間らしい生活。
理解してくれる人なんていなかった。
子供なりに、家の恥を他人にさらす勇気もなくて、なにもないフリをし続けたからね。
でも最悪、命さえ残っていれば、人間なんとかやり直せると思っていた。
成人してから、形だけ残ってた家と、その中身をまるごと捨てたよ。
でも震災で家を失い呆然としている人を見ると、普通の人はこんなにも、失ったり諦めたりすることに慣れてないものかと思った。
奪った相手が自然なら仕方ない。相手が身内の場合、そりゃもう気持ちの中がどろどろだ。
父親にいつ殺されるかわからないから、と思って自室から逃げるルートを考えながら寝た事はないでしょ?
命を失ったのならこの限りではない。
でも生きているなら、たいがいの事はやり直せると思ってる。
あなたのお父さんは命があってよかった。それだけで充分。
ただまあ、別にかわいそうだと思われたいわけでもない。
そこに気がついて、そうだったのか、くらい言ってくれたらいいなあと思う。
あの、父はなかったところで自分で築いたものを奪われた あなたはあなた自身が今現在築いたものを奪われても構わないって理解で良いんですかね? そうだとしたら、それ以上はかける...