2015-06-17

お遣い

さっき、晩ご飯終わりにまだ少し何かを食べたかった母が「何か買ってこようかな」と言ったので、私は「行ってきたげよか?」「コーヒーはいらない?」と、矢継ぎ早に聞いた。

母は思いもよらない私の提案に「いいの?じゃあお願いしよかな」と遠慮しつつもお願いされた。

私は、そらきた!とばかりに時計に目を見やり、コンビニへ出発した。

一度家へ帰るとなかなか外に出たがらない私がやる気満々に行った理由はただ一つ。コンビニに行く途中にあるお店で仕事終わりの彼に会えるかもしれない、と思ったからだ。夜だったから周りは暗い、けれど少しの街灯の灯りがあれば、いつも制服姿しか見た事のない彼の私服が見れるかもしれないと目論んだのだ。

コンビニに到着した頃、時計は彼が働く職場の閉店時間を指していた。母に頼まれコーヒーロールケーキ、私の野菜ジュースパイナップルを手にレジへと向かう。

レジで頼んだコーヒーは、女性の店員から素晴らしい笑顔でそのまま手渡された。

自転車に荷物とコーヒーを乗せ、彼の働く職場を通りながら帰り道を走る。

調子よく走っていると、彼の働く職場の裏口を通り過ぎた頃、カゴに乗せていたそのままのコーヒー振動で倒れ大破した。かろうじて自転車に乗る時に袋へ入れていたから、零れたコーヒーは袋の中だ。自転車を停め袋にぶちまけられたコーヒーコーヒーが入っていたカップに戻す。量はなんとかある程度の量まで戻った。その時袋から零れたコーヒーが私のスカートを濡らした。

家へ帰り涼しい顔をして、母に少し零しちゃったよなんて笑いながら頼まれものを渡した。母はコーヒーロールケーキペロリと平らげ、満足そうに眠りについたみたいだ。

結局仕事終わりの彼にも遭遇出来ず、私服も見られず、邪な気持ちで行ったお遣いは私が着ていた真っ白のロングスカートコーヒーの色に染めただけだった。

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