1人で食べる飯がまずいとは思わない。
吉野家もすき家も松屋もおいしいし、ラーメンはチェーン店でもかなりのクオリティで感動する。
自分でカレーや肉じゃがを作って食べた日にゃ、こいつはかーちゃん越えたんじゃないかとさえ思う。
しかしそれで満足する事なかれ。誰かと一緒に食べるという付加価値は、そのおいしさを何倍にも増幅させる。
「うまい」と声に出せること。一人じゃないということ。それはこの上なく幸せなことなのだ。
相手に延々と愚痴を吐かれようが、たまたま入った店の料理・接客のクオリティが低かろうが、なんでもいい。俺で良ければ愚痴はいくらでも聞くし、変な店に入ってしまったのもそれはそれで良い経験だ。
だから、誰かと一緒にご飯を食べたい。でも臆病なもんで、断られるのが怖くてなかなか自分からは誘えない。
午後6時くらいから異常な頻度で時計を確認しつつ、デスクで「飯行きませんか?」の一言を密かに待つ。
誘われた。嬉しい。しかしそんな感情を表に出したりはしない。心のなかでガッツポーズをしつつ、冷静に「いくかー」と返事をする。
誰かとメシ食いたい時の波と、一人で誰の目も気にせず孤独のグルメしたい時の波がある
じゃああたしと一緒に毎日ごはん食べてくれる?
いくかー 6時半、駅前集合な。
うん。待ってる。