かつて俺は、女にモテたいと思い、モテる技術的な本を読み漁った。
だいたい「自信を持てばモテるよ」と書かれていた。
勘のいい俺は、自信をつける方法さえ見付ければいいんだと仮説を立て、Googleを走らせた。
すると、「根拠なんかなくてもいい。自分を特別扱いしましょう」こんな話に多く触れた。
なるほど簡単じゃないか。と思い、その日の夜はものすごい自信満々でキャバクラに行った。
とにかく自分を特別扱いして、自信満々な、余裕な態度でキャバ嬢とのトークを走らせた。
多くのキャバ嬢からは「それはいいけど、なんで破けてるTシャツ着てるの?」とか「靴下右左微妙に違うんですけど」とかいじられ、自信が揺らぎそうになったが、かろうじて持ち堪えた。破けているTシャツの何が悪い。俺は特別なんだ。
そんな中、一人のキャバ嬢は、「ああ、楽しい。ずっとこの席にいたいな」と言ってきた。
でも、給料日前だったし、場内指名とか出来るほどお金がなかった。お金のことを考えた瞬間からは、嘘みたいに自分を特別扱いすることが出来なくなった。
なるほど。自分を特別扱いすれば自信は身につくが、社会との接点では服とか、お金と言った社会信用が個人的な自信に影響を与えてしまうのか。
俺はモテたくて、その為に自信を身につけたいと思っている。千日回峰行に没頭できるような、比叡山の歴史に名を刻むレベルの自信を身につけたいわけではない。
結局金じゃねえか!