今回の件で良く分かったのは、「困った時はお互い様」が成り立つのは、自分がして「もらう」時もあれば、して「あげる」時もあるという場合しか成立しないという事。
乙武氏の様な重度障碍者は特に、自分から何かしてあげる事がごく限られていて、ひたすら他人に助けてもらい手伝ってもらう生活になる。
彼は精神がその生活に慣れきっていて麻痺しているのかも知れないけど、高齢者がいよいよ身体が動かなくなってくると「こんなに他人に迷惑をかけるほど老いぼれてしまった。早く死にたい」なんて思うというのは良く聞く話だ。
一体これはなぜなのかと思った時、
「他人に手伝ってもらう」→「迷惑をかけている」→「お互い様だからお返しをしなくちゃいけない」→「自分には出来ない」
という気持ちが働いて、心のバランスが崩れてしまうからだろう。
つまり贈り物をもらうばかりで返さないと気分がスッキリしないようなもの、「困った時はお互い様」が心を縛り上げているわけだ。
更にこの「困った時はお互い様」は、手助けする側の心も縛る。
「困った時はお互い様」だから障碍者が困っているなら手助けしなければいけないと思うし、手助けしたからには感謝しろと直感する。