高校の卒業からほとんど一週間も開かずに、就職先の研修で僻地へと連行された。
研修は中高帰宅部で鳴らした私には、厳しくもあり新しい世界でもあった。
早朝の山道マラソン、莫迦大声での返事、社会人心得の座学、扱う商品の説明―――
いちばん怖く、威張り腐っていて嫌われていた指導員があったが、
今となって思えば、入社数年の若造が嫌われ役をやらされていたのであろう。
何より驚いたのは厳しい研修心得の中、17,8歳であった我々に
「喫煙は自由である、但し、決められた場所と時間を守れ」との一節があった所だろうか。
隠れて喫われて施設に迷惑がかかるというのもあったのだろうが。
その企業には3年世話になって辞めたのだが、10年経った今、ふと株式をみると
当時の倍は下らない数字になっていた。