正直なところ、先のことを考えると、恐ろしくなる。「不安」などという、漠たる感情ではない。それはもう気が遠くなるほど、ぞっとしてしまうのである。
適応能力がないのだと思う。自分の置かれた状況を、理解していないわけではないが、それを甘んじて受け入れられない。少なくとも、この世界においては単なる文句とされるようなことばかり、脳裏をよぎる。余計な考えを起こしてしまうのだ。そして、残念なことに、それをコントロールできるほど、できた人物でもない。ゆえに上手く立ち回れない。
アホな人は幸せだろう、そう、考えることがある。失礼な話である。しかし、考えてもどうにもならぬことに囚われる可能性がないということは、本当に素晴らしいことだと思う。
例えば、彼らは然るべき年齢になれば、何ら疑問を持つことなく、職に就こうとするだろう。その行動は、おのずと経済的な自立、親への孝行などにつながっていく。いずれも、この世界においては良しとされることだ。
一方、ここで面倒な屁理屈をこねるような人は、就職への踏ん切りがつかない。やれシステムがおかしい、リクルート死ね、出生前にそんな話は聞かされていないなどなど、言ってみたところで何が変わるわけでもないから、取り残される。そうして、絶望だけが、彼の眼前に横たわる。自業自得、ということになる。結果を見れば、こちらの方がよほどアホだと言って、差し支えないかもしれない。