2023-05-16

ミストという映画

巷では鬱映画とか胸糞とか言われているけど、作品自体はとても好きなんだよな

まあ鬱映画とはいえ嫌いとはあまり言われていないね

勘違いしている人もいるんだが、この映画ストーリー自体はよくあるパニックホラーもので奇抜な設定とかはほぼない

街中が霧に包まれ怪物が襲いかかってくるんだが、人間同士がそこで醜い争いを繰り広げたり、怪物以前に人間に殺されそうになったりと王道の展開がなされる

その描写が一つ一つ丁寧だしきっちりしているのがミスト

からこそそれら全てがブラフだったことが衝撃的なんだよな

よくあるどんでん返しって、実は仮想現実の中でしたとか主人公が不死身でしたとか後付の気持ち悪い蛇足ばかりなんだよ

戦っていた相手人間だとか生き残りをかけた戦いが実は代理戦争だったりとか

ミストはむしろそれに親しいけど実際はそうじゃない

主人公は常に何らかの選択を迫られ、その都度命からがら最善手を選び続ける

モンスター人間もどっちも危険という状況で本当にギリギリを生きているのは主人公らしい

からこそ終盤での「そうするしかなかった」ってのが最大限に生きてくる

誰にでもわかる単純なストーリーから避けようがないし、誰だってそうするしかないと思えるから救いがない

全部選択肢はあっているのに、マークシートが1つずれていることに気づいていない

ミストってタイトルも納得だよ

何度見ても五里霧中だよな

この映画が胸糞って言われるのは、避けようがない不幸を丁寧な脚本マークシートを一個ずつ緻密にずらしていることに由来すると思う

何度見ても「そうだよな。そうするしかないよな」と思うもの

霧の中に恐怖しかないと思っていた頃が一番楽だったなんて、誰が想像するんだよ

  • ミストってゲームのイメージしかなかった

  • 同意。気持ちのいい言語化だった。胸糞ではあるんだけど、ある意味かゆいところに手が届く類のカタルシスがある

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