2017-06-07

うろ覚え花咲かじいさん

むかしむかしあるところに、おじいさんがいました。おばあさんもいたような気がします。

おじいさんは犬を飼っていました。

名を平八といい、それはそれはとてもかわいい犬でした。

ある日、おじいさんが畑仕事をしていると、

平八が「ここ掘れワンワン!」と命令をしてきました。

平八の命令通りに地面を掘ってみると、大量の小判が入った壷が見つかりました。

おじいさんはその小判でもう一生働かないで暮らしていけるようになりました。

このことを隣のおじいさんとおばあさんに自慢したところ、

「それなら私達にもその犬を貸してくれないか」とお願いされました。

おじいさんは快諾しました。

「しめしめ。これで私達も大金持ちだ」

おじいさんとおばあさんは平八を自宅の裏庭に放ちました。しかし平八は寝転んでしまい、やがて鼾をかいて寝てしまいました。

翌日も、その翌日も平八は寝たままで、いつまで経ってもお宝の場所を教えてはくれませんでした。

「むむ!このクソ犬め!」

おじいさんとおばあさんは平八を棒で叩きました。

「キャイン!」

平八は叩かれたくないので、

「ここを掘れ!」

と渋々言いました。

「ひぃやったぁ!」

おじいさんとおばあさんは狂喜乱舞

一心不乱に掘り続けました。

すると大きな大きなつづらが出てきました。

「こりゃあ壷なんか比較にならん!わしら大金持ちじゃ!」

しかし葛篭から出てきたの小判ではなく妖怪でした。

「ひゃぁぁぁ!!」

おじいさんとおばあさんは妖怪と一週間戦いました。

そして、

「このクソ犬がぁ!」

ついには平八を叩き殺してしまったのです。

「なんてことだ……」

「ふん!このクソ犬がいけないんだ!」

隣のおじいさんとおばあさんは悪びれる様子もなく、唾を吐いて帰っていきました。

「平八……」

おじいさんは大変悲しみました。

涙を流しながら平八の亡骸を燃やしました。

燃え尽きた骨を広い、それを小さなお皿に入れました。

そして平八が大好きだった桜並木を歩いたのです。

「わしは平八と共に居たい。金はあれども大切な者はみんないなくなってしまった」

悲劇悲劇じゃあ!

おじいさんは叫びながら灰となった平八を撒きました。少し疲れていたのです。

でも、撒かれた灰は風にのり、冬にも関わらず桜を満開にしたのです。

「こ、これは!」

『おじいさん。僕はここにいるワン』

平八の声が聴こえたような気がしました。

「そうだな。いつまでも泣いててはいけない!」

おじいさんは笑顔になりました。

この気持ち、みんなに分け与えたい!

「この灰さえあれば、枯れ木だって花満開じゃ!」

おじいさんは練り歩きました。

「枯れ木に花を咲かせましょう!」

おじいさんは叫びながら練り歩きました。

村民達は静かに見守りました。

しかし!

「あ、あれを見ろ!」

「は、花がぁ!」

そうです。そうなんです。おじいさんが平八の骨をまいた木は、すべて桜の花が咲いていたのです。

この噂を聞きつけたお殿様はおじいさんと城へと招待しました。

「一体何をしているのだ?」

「花です。花を咲かせているのです」

大丈夫か?」

大丈夫です!これをごらん下さい!」

おじいさんはリズミカルに灰をまきました。

すると、城の庭に植えられていた枯れ木が

見事な桜になりました。

「す、すごい!」

「でしょう?」

「ほうびをやろう!」

おじいさんはお殿様からもの凄い金額を頂きました。

小判と合わせるともう完璧お金持ちです。

その噂を聞きつけたお隣のおじいさんとおばあさんはその灰を少し分けてくれとお願いしてきました。

大事大事な平八を叩き殺した張本人達でしたが、おじいさんは快諾しました。

「これで今度こそ……」

隣のおじいさんはおばあさんは手始めに自宅の裏庭にある木に灰をまきました。

すると花が咲きました。灰色の花が咲きました。

その花は直ぐに地面に落ち、無数の触覚が生えてきたのです。

「ひっ」

灰色の花から伸びた触角が隣のおじいさんとおばあさんに突き刺さりました。

血が垂れて、触角づたいに花に触れました。

全ての花は赤く染まりました。

「これはこれは。見事な花を咲かせましたね」

平八の飼い主であったおじいさんの言葉が、二人に聞こえることはありませんでした。

めでたしめでたし

追記

これを書いた後に答え合わせをした。

http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=21

大体当たっていてよかった!

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん