はてなキーワード: Modest Mouseとは
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俺の見た目はキモオタそのもので、ほぼ90%の人間が俺をアニメやエロゲが好きなオタクだと思っている。まぁ実際少しはアニメやエロゲも好きなんだけどさ、何もそれだけってわけじゃない。みんなが普通に聴いていそうな音楽も聴くし、みんなが普通に見ていそうな映画も見る。特に好きな音楽はロックで、日本語ロックではBUMP OF CHICKENやRADWIMPSが好きだ。映画は北野武が一番好きだけど、アバターやアリス・イン・ワンダーランド、シャッターアイランドのような大作も好きだ。でも一番好きなのは洋楽を歌うこと。英語の発音はとにかくカッコいい。厨二病みたいなものかもしれないけど、これだけは誰にも負けたくなかった。毎日とは言わないけれど、自分の部屋で時間があれば、好きな洋楽(Red Hot Chili PeppersやGreen Day、Weezer、NIRVANA、Oasis、Blur、Coldplay)の歌詞を見ながら、英語の発音を真似て歌った。特にレッチリの曲は何曲か完璧に歌えるようになった。英語の曲が完璧に歌えるというのは本当に気持ちがよかった。
そいつらはニヤニヤしながら「XXく~ん、カラオケ行っかない?」と俺に聞いてきた。
俺は「あぁ、いいよ」と言った。レッチリを歌おうと思った。
そうしたらそいつらは「えっ!?ウソ!?行くの?マジで!?www」と、俺の顔を見ながら、何故か全員で爆笑していた。俺はその反応で、そいつらが何を期待しているのか理解した。
きっとそいつらは、俺の風貌がキモオタであることから、こいつは一般的な歌が歌えない、アニメソングや萌え萌えソングしか歌えないと思ったのだろう。普通の歌が歌えないキモオタと、普通の歌が歌える自分という比較をしてまず一回優越感に浸り、そしてその後アニメソングを歌う自分をバカにすることでもう一回優越感に浸ろうとしていたのだと思う。俺は何だか無性に嬉しかった。
カラオケにつくなり奴らは「XX君早く歌ってよ~得意な萌え萌えとかいう歌を」とニヤニヤしながら言ってきた。俺は迷わずレッチリを入れた。『By the way』。アンソニーの美しいサビと途中の高速ラップが素晴らしい歌だ。その後もガンガン洋楽を入れた。Green Day、NIRVANA、Oasis、Maroon5、一曲しかしらないけどModest Mouseも入れた。奴らはポカンとしていた。当然だろう。今までアニメソングしか歌わないと思っていたキモオタが、実は洋楽好きで、洋楽を歌えるだなんて夢にも思っていたんだろう。しばらくヘラヘラしていた奴らは、やがてあからさまに「あー…」とか「うぜ…」とか言い始めた。彼らからその言葉を引き出すことが出来て、彼らを苛立たせることが出来て、俺は本当に嬉しかった。
カラオケが終わって俺と奴らは外に出た。奴らは明らかに苛立っていた。
奴らのうちの一人が俺に言った。「お前、マジうざいわ。明日からお前のこと『ウザ夫くん』って呼ぶから」
確かに僕はウザいのかもしれない。でもお前らも充分ウザいぜ。
そして僕は一人に帰路についた。
どうしてみんな、見た目で人を判断するのだろう。見た目と内面が乖離してちゃいけないのか。家に帰る途中で僕は少し泣きそうになった。あーぁ、楽しい。あーぁ、つまらない。あいつら全員死んじゃえよ。と俺は一人心の中で愚痴った。
唐突に俺は閃く。
確かに、見た目で判断されるのはつらい。人は中身なんてみないし、「なんで」という思いは増すばかりだろう。
でも、だからこそ、そういった予定調和な空間をぶっ壊すことが出来るのだ。クラスの意地汚い連中や、見た目がキモオタなやつはアニソンしか聞かない、アニメやエロゲしかやらないと思っている連中。そういった奴らが予想している展開を外して、そいつらを異次元に連れて行けるのだ。そいつらの予想を崩して、奴らをしらけさせたり、苛立たせたりすることが出来るのだろう。そんなこと、一般人には出来ない。キモオタの顔を持つ、俺にしか出来ない。
そう考えると、俺は唐突に心の中に爆弾を隠し持っている気がして、何だか無性に嬉しくなった。跳ね上がるぐらい嬉しかった。数分前まで鬱状態だったのに、急に躁状態になった。躁鬱病か?って一瞬思ったけど、何でもかんでも病気で片付けるのはやっぱ間違ってるぜ。