シャケは数千個の卵を産む。しかし、母川があっという間にシャケだらけ!とはならない。大半の稚魚が死ぬからだ。
死んだ稚魚は、同胞に食われる。虫に食われる。カビが生える。食われるために生まれてくる稚魚というべきものが存在する。その先で、やっとのことで生存者が細い生命をつないでいる。
ヒトも食われるために生まれてくる稚魚を産む。虐待され、利用され、搾取され、その先で子を抱くことなく生涯を終えるメンバーが、生まれてくる。
ヒトの場合は、シャケとは違い、簡単に死なない。生きたまま食われるがごとく、搾取されながら生きていく。我々の社会はその弱者に立脚している。
あなたは彼らを笑えるか?自分の意思で生まれたんじゃない。自分の意思で奪われるんじゃない。ただ巡り合わせでそうなる。
あなたが生まれたのもあなたの意思ではない。あなたが奪うことさえもあなたの意思ではない。彼らとあなたの違いは、ただ巡り合わせで、偶然である。