2024-01-15

賞賛中毒に陥ったある物書きの話

賞賛とは、麻薬のようなものだと思う。

 

中毒性があり

依存性があり

途絶えれば苦痛を伴う。

 

 

私は、創作というものに関わっている。

これまでにいくつかの作品を世に送り出し、賞賛を得た。

その度に、私はひどく高揚した。

もっともっと評価を欲した。

 

そんなある時、所謂スランプ」というものに陥った。

創作に携わったことのある者なら一度は味わったことがあるだろう。

何も出で来ないのだ。

それでも私はアイデアを絞り出し、作品を作り出した。

そうして段々と、出涸らしになっていった。

 

その頃だろうか。

私以外の作家が持て囃されるようになったのは。

 

これまで私を賞賛していた人々が、次なる作家賞賛する。

私は恐怖した。

場所を奪われることに。

忘れ去られることに。

 

返せ、返せ。

その賞賛は私のものだ。

それは私の居場所だ。

 

醜くおぞましい、グロテスク感情支配されていく。

 

 

私はもがき、あがき、発信し続けた。

その結果、返ってきたのは

 

無反応と無関心だった。

 

 

――…。

賞賛とは、麻薬のようなものだと思う。

私はその麻薬に溺れてしまった。

欲した結果、多くのものを失ってしまった。

 

今の私は、承認欲求を満たそうとするだけの、醜くおぞましい化け物だ。

新たな作品を送り出すだけの気力も残されていない。

ただの残骸だ。

 

 

どこにも吐き出せないどろどろとした感情電子の海に放流し、そろそろ去ろうと思う。

私と私の作品を愛してくれた人に感謝と憎しみを込めて。

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