呪術廻戦。
作中の呪術師は超能力者であり、独自の能力=術式を使用して戦う。呪術師でない普通の人間には、呪術師が払う悪意=呪いは見えず、呪術師の使う力=呪力を感じることはできない。
呪術師の最高到達点である技が「領域展開」。これは術師の中にある術式、生得領域を結界という形で体外に創り出し、そこに他人を引きずり込む。領域展開を使うもの同士が同時に領域を展開すると、より洗練された領域が相手の領域を塗り潰す。というもの。
この生得領域(術師が生まれ持った自分の心の領域?)を、生物学の概念「環世界」(ウンベルト。すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、それを主体として行動しているという考え。)で読み解いたらどうだろう。生得領域とは、各個人が獲得している環世界であり、領域展開とはその環世界に相手を引き摺り込む技であるとすると。領域のぶつかり合いとはお互いの環世界の衝突。世界の知覚・認識が正面から衝突したとき、起こるのは融合や融和ではなく「どちらの世界観が正しいか」という心の戦争。