あれは15年くらい前。
俺の受けるセンター試験は大阪の東のほうが会場で、駅からバスに乗って行くしか方法が無かった。
普段行かない土地の路線バスの行き先なんて分かりにくいもんだよな。特に京阪バスは分かりにくい。バスターミナルでキョロキロ見てたらやっとそれらしいバスが見つかったんで、時間ギリギリなのもあったので飛び乗る。
程なくして四人組くらいの受験生と思しき集団もバスに乗ってきて「このバスってセンターの会場まで行くんですよね!?」と俺に聞く。
「はい、そうです!頑張りましょう!」当然そう応えるよな。
で、発車のエンジンが掛かって何故かピンと来た。「あ、このバス全然違う方向のバスだわ」。
ギリギリの所でバスから飛び降りた俺だったが、例の四人組は降りられない。最後部座席から俺のことを不思議そうに見ていたその内の1人の目が忘れられない。
10min後のお前には、俺がお前たちを蹴落とそうとした人間に見えているんだろう。
俺の方は慌ててタクシー乗り場でタクシー捕まえて、会場にはギリギリ間に合った。よかった。
彼らも多分間に合ってると思うけど、もし間に合ってなかったらゴメンやで。今でも悔やんでるんやで。