2022-01-15

ろこもこ

先生と私

私はその人を常に先生と呼んでいた。だからここでもただ先生と書く。よそよそしい頭文字などは使う気にならない。

私が先生と知り合いになったのは鎌倉である夏休みに海に行き、西洋人である先生更衣室に忘れていった財布を、先生の元に届けたことが関係の始まりだ。

「Isn't it?」

「Oh、it's mineアナタ優しいですネ。家に来てくれたら料理振る舞いますヨ」

私は先生の家に向かった。

「イッツ、ロコモコ

「おーベリーyummy」

先生の作る「ろこもこ」は格別の美味しさであった。その日以来、私は毎日先生の家に「ろこもこ」を食べに行っていた。幸せな日々だった。

中 両親と私

実家に帰るときがあった。しかし「ろこもこ」の虜になっている私は「ろこもこ」を食べずにはいられない。

「母上、ろこもこを作ってください」

「知らないものは作れません」

実家でろこもこを食べる夢は叶わなかった。

そんなある日、先生から手紙が届いた。

先生遺書

私は常日頃から精神的に向上心のないロコモコは不味い」と言っていましたが、私の作るロコモコも、いつしか弛みきったダメロコモコになっていたように思います。よって、もうロコモコは作りません。毎日タダ食いしようなんてことはやめて下さい。いいですか、もうロコモコは作りません。

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