私はその人を常に先生と呼んでいた。だからここでもただ先生と書く。よそよそしい頭文字などは使う気にならない。
私が先生と知り合いになったのは鎌倉である。夏休みに海に行き、西洋人である先生が更衣室に忘れていった財布を、先生の元に届けたことが関係の始まりだ。
「Isn't it?」
「Oh、it's mine。アナタ優しいですネ。家に来てくれたら料理振る舞いますヨ」
私は先生の家に向かった。
「イッツ、ロコモコ」
「おーベリーyummy」
先生の作る「ろこもこ」は格別の美味しさであった。その日以来、私は毎日先生の家に「ろこもこ」を食べに行っていた。幸せな日々だった。
実家に帰るときがあった。しかし「ろこもこ」の虜になっている私は「ろこもこ」を食べずにはいられない。
「母上、ろこもこを作ってください」
「知らないものは作れません」
実家でろこもこを食べる夢は叶わなかった。
私は常日頃から「精神的に向上心のないロコモコは不味い」と言っていましたが、私の作るロコモコも、いつしか弛みきったダメロコモコになっていたように思います。よって、もうロコモコは作りません。毎日タダ食いしようなんてことはやめて下さい。いいですか、もうロコモコは作りません。
ちんちん