2021-07-08

鐘の鳴る街

わたし*1の生まれ育った街*2の中心には小高い丘*3があって、そこにはひとつ、古い教会*4がありました。

毎日12時になると、その教会から鐘の音が聞こえた*5んです。メロディは、ウエストミンスターの鐘……だったらカッコよかったのですが、実際には、ただ、12回鐘をうちならすだけでした*6。

 子供の頃はただ、「ああ鐘が鳴っているな」「鳴り止まないな、うるさいな」くらいにしか思っていなかった*7のですが、大人になって*8東京に出てきて*9、正午になっても何も聞こえない*10暮らしをつづけていると、ときどき、あの鐘が鳴る音が、どうしようもなく恋しくなるのです*11

 

 

1 嘘。俺はわたしなんて一人称は使わねえ

2 嘘。俺は里帰り出産なので、生まれた街と育った街がまったく異なるし、そもそも街じゃなくて山みたいなところで育った

3 嘘。ない。全体が山だった

4 嘘。宣教師も逃げ帰るような山だった

5 やや嘘。町内放送で鐘っぽいアレンジのなんらかの曲はかかっていた

6 まったくの嘘。

7 そもそも嘘なのでマジで何も思ってない。町内放送で夜9時に流れる「野薔薇」は好きだった

8 嘘。もうアラサーだが、本当にガキのままだ。人生どうするんだ?

9 嘘。田舎に住み続けている

10 嘘。町内放送かなんかで「エーデルワイス」が鳴ってるのが外から聞こえてくる

11 全部嘘だし、もし本当に鐘の鳴る街育ちだったとして、べつに恋しくはならないだろうな

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん