大学に着任してちょっとしたころ、ツテで短大の非常勤講師をやってくれないかと依頼があったんだ。
いいっすよってことで、半期つとめたわけ。
次回は期末試験です、がんばってください、みたいなことをいってその日の授業を終わろうとしたときに、女子が二人来たの。
まあ試験前だし質問はこの機会しかないよね、おけおけ、って話を聞いたら、そのうち一人が
おいおい、なんだこれ、禁断の恋に発展したらどうするだよー、って思ったね。
「ありますか」っていう表現はちょっと変わってるなあって感じたけど、その子の出身地の表現かもしれないしね。
でまあ、もちろん独身だし、それに合わせて、
「ないですよ」
って答えたよ。
そしたら、残念そうに、二人でしょうがないかって感じで去っていくの。
いて欲しかったのかよ。何でだよ。
で、次の瞬間に気づいた。
だったんだ。
ちょっとアクセントなまってるじゃん、こっちが出身地の表現かよ。
なんで試験前に再試のこと聞いてくるんだよ。
ふつう「妻子」とか聞かなくて、結婚してるかを聞くよね、よく考えたら。
「いませんよ」って答えなくて、ほんっとーによかったわ。