海外で通っていた日本人学校の学芸会で、中学部が毎年演じていて、強く心に残っている。
日本人学校とは言え、1年で全員が入れ替わるわけではないから、キャストも被っているし、去年も見た内容なのに、なぜか毎年強く惹き付けられた。
自分も当然、中学生になったらあの芝居を演るんだと、どんな演出にしようか、どの役を演ろうかと、悩んでいたが、あっさり帰国が決まり、結局一度も演じることはなかった。
私の魂も、迷い、傷付き、絶望することを知りながら、それでも産まれてくることを、生きること選んだのだと。
生きることを、産まれることを選んだ「産まれて間もなく捨てられる未来」の魂の泣き声が、一度聴こえなくなったあと、助けられたのか再度聴こえだしたシーンが一番印象に残っている。
絶望的な人生を知らされた魂たちが、「それでも精いっぱい生きる」と宣言する。
私もそうやって、産まれおちて、生き延びることを決意したのだ。
全ての役を演じてみたい。ひとり芝居ではなく、誰かと作り上げる舞台の、かけあいの中で、全ての役を。