2021-06-15

グッドバイ・マイ…

グッドバイ・マイ…」という脚本がある。

中学生向けに書かれたもので、商業舞台で見ることはまずない。

海外で通っていた日本人学校学芸会で、中学部が毎年演じていて、強く心に残っている。

日本人学校とは言え、1年で全員が入れ替わるわけではないから、キャストも被っているし、去年も見た内容なのに、なぜか毎年強く惹き付けられた。

自分も当然、中学生になったらあの芝居を演るんだと、どんな演出にしようか、どの役を演ろうかと、悩んでいたが、あっさり帰国が決まり、結局一度も演じることはなかった。

生きることに迷ったとき、いつもこの舞台のことを思い出す。

私の魂も、迷い、傷付き、絶望することを知りながら、それでも産まれてくることを、生きること選んだのだと。

生きることを、産まれることを選んだ「産まれて間もなく捨てられる未来」の魂の泣き声が、一度聴こえなくなったあと、助けられたのか再度聴こえだしたシーンが一番印象に残っている。

絶望から希望への転換。

絶望的な人生を知らされた魂たちが、「それでも精いっぱい生きる」と宣言する。

私もそうやって、産まれおちて、生き延びることを決意したのだ。

できることなら、この脚本を演じたい。

全ての役を演じてみたい。ひとり芝居ではなく、誰かと作り上げる舞台の、かけあいの中で、全ての役を。

グッドバイ・マイ…続く言葉は明かされない。演者や観客一人ひとりに、解釈が託されている。

私は私の解釈言葉を入れ、それを「お守り」として心に持っている。

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