大学時代に友人が命を絶った。
ニュースにも取り上げられる程度で、当時ネットではそのニュースを元にスレッドが立った。
年齢、地域、景気、当時の社会政治状況、そんな点の情報を元にあらゆる邪推が繰り広げられていたが、故人を少なからず知っていた自分が見れば、どれも全く的外れなものだった。
そんな自分ですら、彼が何故、あのタイミングで、あの方法で、自裁死を選んだのか。
それは分からない。
太田光が言ったように、「人の死は、その人にしか分からない。多分、その人にも分からない。」
なぜ、残った者の中で身近でもない他者が、逝った人間に対して軽々しく邪推できるのか分からない。自裁死というのはとても重い決断ではないか。
死ぬ瞬間、誰のことも恨まず、世界を愛して逝ってくれていたら。
と、故人を知らない私は小さく願う。