2020-09-20

あの道は田舎に続いていた

子供の頃よく家族ドライブした。

ドライブと言うと聞こえは良いけど、県内商業施設に買い出しに行くみたいなことで、子供ながらに片道一時間以上車で揺られるのは退屈でもあった。

いつも曲がる交差点があった。

その交差点を右に曲がると、ホームセンターとか家具屋が合わさっている店舗に付く。

親父はいものその交差点を右に曲がって、例の店舗に車を走らせていた。

どこかにつながっているその交差点は、いつも右に曲がっていて、直進、左折、はどこにつながっているのかわからなかった。

正確に言えば左は、実家のある方角。北を目指す道なので、左向きの道を行くなら車は北上して地元に通じるんだろうなという、ぼんやりとした認識はあった。

問題は直進した場合だ。

いつも右折しかしない交差点、直進するとどこにいくのか謎に包まれている交差点

子供ってのはだいたい考えなしに言葉を発するもので、そのときの私も気がついたら疑問を声に出していた。

「ねー、真っすぐ行ったらどこにいくの?」

田舎

母は即答した。

それ以来、この交差点に来るたびに、ああ、直進したら田舎に行くんだろうな。という思いを巡らせた。

田舎はどんなところだろう。

具体的に田舎というのがどんなところなのかはわからないけど、たしかにあの道は、あのときの私の心の中で田舎に続いていた。

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