これが私の思う、すべての人間が持つ魅力だ。人の数だけ正義がある。そもそも確かな正義を持っていない人だっている。私もそうだし。なにが正しいのか、誰が本当に正しいのか、そんなことは私にはわからないけどそれでもみんな生きている。そこに確かに存在している。
主人公と敵対する彼らなりの正義。明確な正義がなくてもいい。主人公の正義とは異なる力で動いている。それでいてめちゃくちゃ強い。すごく強い。はちゃめちゃに存在感がある。君臨している。
私は彼らの"わからなさ"と"存在感"に人間としての強い魅力を感じるのだ。
私のわからない善悪で物事を判断して、私と違う生きる意義をもって生きている。そこが好きだと感じる。
現実の世界であっても物語の世界であっても、絶対的な善悪は必要ないと思うのだ。むしろそんなものはあって欲しくない。だから悪役には主人公の正義を否定してほしいし、凛として君臨していてほしい。何度挫折しても立ち直るのは主人公だけの特権ではない。決して諦めずに自分の正義を持ち続けてほしい。