月見ポケットなるものが装備されたカップ麺。そう、君たちも年末に食べるかもしれないアレだ。
なるほど、ポケットに黄身が固定されるわけだ。
満を持して黄身の中央めがけてお湯をそろそろと注ぐ。
するとどうだろう、黄身は見事な弾力を発揮して窪みながらもお湯を跳ね返した。
ポアしたお湯はコースをチェンジし華麗にカップのアウトへフライアウェイ。
なんということだ。俺は見誤った。黄身を相手にするべきではなかった。奴は想像以上に強い。
3分後。
脳裏をよぎった不安の通り、やはり奴らはまったく固まっていない。得も言われぬ絵面が眼前に広がる。
そもそもエッグをプットオンさせることをアフォードするあのポケットがトラップなのではないか。
卵を最下部に入れてから麺を乗せ、外周からゆっくり注いだお湯でもって、
完全に熱から逃れられない状況を作って固める方が良かったのではないか。
己の未熟さを思い知らされたものだ。
産まれる前の卵にすら後れを取るとは。